インタビューvol.6 花岡車輌 花岡雅さん【前編】

白河二丁目にある創業84年の物流機器会社「花岡車輌株式会社」さん。農機トラクター用トレーラーの製造から始まり、台車製造への事業転換、さらには空港用物流機器製造への着手と常に先を読んだ事業展開を進め、今に至る会社さんです。今回は1階ショールームのリニューアルに伴い、取締役の花岡雅(はなおかまさし)さんに花岡車輌について詳しくお話を伺いました。取締役といっても30代前半とお若く、美術大学出身の経歴をお持ちということで、面白い話が聞けるはず!(2017年9月)

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思わぬ結果から全面リニューアル。

ー 突如、花岡車輌さんの1階にセブンイレブンさんができたときは驚きました。

ですよね。昨年末にセブンイレブンさんからオファーをいただいて、ちょうど会社としても、1階を有効活用することを考えている時期だったんです。裏の倉庫にスペースもできたし、1階の半分を占有していた荷物などをそちらに移して間仕切りでお貸ししようと思っていたのですが、、。

ー 何かあったのですか?

天井が全てアスベストだったんです、、。そこで間仕切りは諦めて、1階をフルリニューアルして、当社のショールームも新しく作り直すことにしました。ちょうど現場改革を進めていたタイミングでもあったので、ショールームの活用を考え始めたんです。

ー 結果は?

評判は上々です。取引先が、当社の他の事業のことを知る機会になり新しい引き合いが生まれて売り上げに貢献するようになったんです。

ー それは素晴らしいですね!では、まずは花岡車輌さんの事業を教えて下さい。

こちらのパネルを御覧ください。当社の事業領域は三つあります。空港用物流機器事業、産業用物流機器事業そして福祉介護用機器事業です。空港用物流機器と産業用物流機器の二事業が当社の柱です。まず、空港用物流機器ですが、航空機用に特化したユニットロードデバイス(ULD)を運ぶ物流機械を扱っています。主な製品としてはドーリーが挙げられます。航空機から空港までコンテナを運んでいる機器といえばわかりますでしょうか。

ー 空港の搭乗口で出発を待っているときにずっと見ちゃいます。動きがスムーズで見飽きないんですよね。。

それは嬉しいです!当社は独自の技術を持っていて、全日空さん、日本航空さんにはほぼ100%当社の製品をご利用いただいています。他にもシンガポール航空さん、カンタス航空さん、ユナイテッド航空さん、エミレーツ航空さんなど世界中にお客様がいらっしゃいます。また、大手航空会社さんは独自のスタッフが航空機から空港まで荷物の入ったコンテナなどを運ぶのですが、外注する会社さんもあり、その外注先であるスイスのグランドハンドリング会社さんにも卸しています。

ー ドーリーの設計図が展示されてますが、ここまで見せちゃっていいんですか!?

はい。いいんです。(笑 設計図だけあっても溶接や材料の選定などができていないと作れないんです。それだけ真似されない自信があります。空港の物流機器に求めるレベルはかなり厳しく、地面からの高さが20インチ508mmと決まっているです。道路を走ってる車は、サスペンションで本体の荷重を軽減しているんですが、この機器にサスペンションを使ってしまうと重さで沈んでしまうので、横に流せなくなるんですよね。ですので、本体自体に直に1.6トンから20フィートクラスになると27トンまでの荷重にも耐えうる堅牢性が必要。サスペンションを使わないフレーム強度は強いんです。ただ、それだけではありません。

ー と言いますと?

頑丈だけだと他社に流れるんですが、当社製は両牽引できるんです。他社さんのドーリーって片方からしか牽引できない。どういうことかというと、オーバーランしたら、そもそもバックができない構造なので、もう一回大回りして戻ってこなくちゃいけないんですね。両牽引であれば、通り過ぎたら一旦ドーリーを切り離して、先導車を反対側に付けた上で位置を調整できるんです。実は、空港内というのは移動できるエリアが制限されています。滑走路を含めて空港って広そうに見えるんですが、翼の下は通れないとか。

航空会社の目指すところは、発着時のウェイティングタイムを軽減すること。両牽引であればその時間を短くできるメリットがある。だから日本の航空会社さんはうちを使ってくれるんです。ただ、、、広い空港だと、両牽引じゃなくていいので、そこは売りこむメリットにならないんですけどね、、、(苦笑

ー ドーリー以外の空港用物流機器はあるんですか?

空港ビル内で皆さんがスーツケースを乗せて運ぶカートですね。こちらは国内では成田空港さんなどの一部の空港を除いて当社製を納めさせていただいております。当社が日本で初めてカートを作ったのですが、ブレーキ付きのカートを日本で初めて導入したのも当社なんですよ。あとは実は当社は建設業許可を持っています。何のためかというと、お客様の荷物はチェックインカウンターでベルトコンベアに乗せますよね。その後コンテナに詰めるのですが、そのコンテナをドーリーまで楽に運ぶためのキャスター付き台を作っているんです。この台を床にアンカーで固定しなければならないため、建設業許可を持っているというわけです。

ー なるほど!それにしても、カート、キャスター付き台、ドーリーと多岐に渡りますね。ちなみに機器を製造している工場って清澄白河界隈に?

昔はこの本社界隈に点在していたのですが、それを集約する形で埼玉に移しています。

ものづくりの原点であるダンディ

ー アクリルパネルに囲まれたスペースにひときわ目立つ台車がありますが、これは??

こちらが当社の二つ目の事業である産業用物流機器事業の代表作、ダンディです。

ー ダンディ、、、名前がユニークですね、、、。

以前、モヤモヤさまぁ〜ず2でも取り上げていただき、さまぁ〜ずさんに散々いじられた名前です。私の祖父が名付けたんですが、どういう意図だったのかなぁ。(笑

ー このフォルム、とてもカッコイイ!

ありがとうございます!産業用の台車の原型を作ったのは当社なのですが、この台車は初号機です。ショールームをリニューアルするときに、初号機を復元させて、必ずここに置こうと決めていたんです。当社のものづくりの原点はこの台車。だから蘇らせたかった。フレームは何度もメッキし直して、ブラストかけて。ハンドルとキャスターはリメイクしてます。台車の寸法の基準は600mm×900mm。それまではどの会社も好き勝手に作っていたのですが、当社が台車の量産型を作りました。それだけに、工場内では「ダンディとって」という呼ばれ方をしていた。かなり年齢が上の方々にとっては「台車」より「ダンディ」の方が馴染みがあると思います。しかも当社のダンディは強度が抜群なので、20年以上使ってくださっているお客様もいらっしゃいます。

ー 20年!技術者冥利に尽きるとはいえ、、買い替えてほしい気持ちもありますね。。。

大事に使ってくださっているということで、ありがたい限りですよ。。(笑

また、ダンディは様々なシリーズがあって、足踏み式でリフトのように荷台が押しあがるものもあります。メインは国内ですが、アメリカやヨーロッパ、アジア地区にも輸出しているんです。

この産業用物流機器のリフトの技術を使って作った段差解消機が、最後にあげる三つ目の事業である福祉介護用機器事業のメイン製品です。この機器の競合はスロープなんですよね。機器は電動のために壊れたりするデメリットはあるのですが、省スペースで利用することができることが強みです。

 

ー 三つの事業をご紹介いただいたわけですが、やはり一番最初の製品は「ダンディ」?

それが違うんですよ。少し会社の歴史を話させてください。

当社は、私の曾祖父にあたる花岡種次郎が横浜で創業しました。その一年後には、今の本社があるこの地に移転してきたんです。まず着手したのは金魚の輸出業。きっと売れると見込んだと思うのですが、輸出中の赤道直下でみんな死んじゃった。。次に社長になった祖父が最初に手がけたのは農機用トレーラーで、海外でもかなり売れたようです。ブリヂストンさんの農機用タイヤ東日本の総代理店をしていた時期もありました。その後、本社周辺に点在していた工場を埼玉県に集約。これは農機試験場が近くにあるということで、移転したはずなのですが、その一年後に、社長が「これからは工業の時代だ!」と全く畑違いの台車「ダンディ」販売に至ります。そして5年後、また社長が「次は国際化が進むから空港の時代だ!」ということで空港物流機器製造に舵を切ったんです。

ー まさに先見の明。。

やるからには世界品質を目指そう、ということで、当時世界一のエアライン会社パンナムエアラインさんがたまたまドーリーの世界コンペを開催していたので、応募したら見事通ったんです。認知度と信頼度が上がったことで全世界に「HANAOKA」ありとなった。国内のエアライン会社さんにも導入が決まったのは、このコンペのおかげなんです。

ー 常にチャレンジを続けられてきた会社なのですね。

ええ、そうですね。その後、1980年に現在の本社に建て替え、三つ目の事業である介護福祉機器部門を立ち上げたり、2001年に今の社長になってロゴを変えたり、そのあたりから製品にユニバーサルデザインを取り入れ始めました。そして今年ですね、現代にあった花岡車輌を説明するべくショールームをリニューアルして今に至るわけです。

ー 今の社長は雅さんのお父様なんですか?

そうです、私の弟も当社に勤務していまして、営業部門を統括しています。私自身は、デザイナー、総務、経理、人事、システムなどのバックグラウンドの統括です。

ー そうでしたか。ところで、雅さんは、もともとデザインを?

はい。学生の頃にデザインを専攻してまして、卒業後デザイン会社を経て、当社に入社したのは6年前の2011年なんです。それまではこの地にまったく馴染みがなくて、、、。今では近所の北京菜館さんや資料館通りのお店にランチを食べにいったりしてます。北京菜館さんなんておかみさんとも仲良しです。(笑 あと、カレー屋サッカールさんのスタッフが会社向かいのファミリーマートさんで働いていることに気づいたり、街の変化に敏感になりました。(笑

ー だいぶ馴染んでますね。(笑

 

ということで、まずは花岡車輌さんの事業や歴史について語っていただきましたが、前編はここで終了です。デザイナーでもある雅さん監修の元に誕生したショールームのお話は後編で!

 

Photo by Maki Hayashida

 

花岡車輌株式会社
白河2-17-10
03-3643-5272

<Website>
http://www.hanaoka-corp.co.jp/
<Facebook>
https://www.facebook.com/HANAOKASHARYO/

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2017-09-25 | Posted in InterviewNo Comments » 

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